記事一覧完全ガイド執筆 OhMyBaby Editorial Team
安全・応急対応

抱っこ紐の安全と姿勢・呼吸の確認

リビングで赤ちゃんを前抱きの抱っこ紐に入れて立つ母親です。
リビングで赤ちゃんを前抱きの抱っこ紐に入れて立つ母親です。

このガイドは、1歳未満の赤ちゃんにスリングや抱っこ紐を使う大人の保護者を対象にしています。抱く前の姿勢の確認、装着の問題と受診が必要な状態の区別、授乳や眠ったときの対応を説明します。主に赤ちゃんを保護者の前で対面抱きする場面を扱います。製品ごとに異なる結び方やバックルの使い方は、その製品の説明書で確認してください。

SUMMARY

赤ちゃんを縦に抱いてください。 [NHS Best Start in Life]

鼻と口を覆わないでください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

あごを胸から離してください。 [NHS Best Start in Life]

背中を支えてください。 [NHS Best Start in Life]

呼吸をこまめに確認してください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

授乳のときは抱っこ紐から出してください。 [NHS Best Start in Life]

抱っこ紐で眠ったら、できるだけ早く硬く平らな寝床へ移し、あおむけに寝かせてください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

顔とあごを別々に確認する理由

案内を読むときは、顔が見えるか、鼻や口を覆うものがないか、あごがどこにあるかを分けて考えてみてください。このガイドもこの問いに沿って説明します。顔が写った写真でも、鼻や口の周り、あごの位置までは分からないことがあります。装着を手伝う人に相談するときも、それぞれを言葉にしてみましょう。

スリングでは、布や保護者の体が鼻や口を覆う場合と、体が丸まりあごが胸に付く場合のどちらでも呼吸が妨げられるおそれがあります。 [U.S. Consumer Product Safety Commission] [Queensland Government / Office of Fair Trading]

月齢の低い赤ちゃんは頭を支える力が十分でなく、呼吸を妨げる姿勢から自分で頭を動かせないことがあります。 [U.S. Consumer Product Safety Commission]

気道が塞がると泣いたり動いたりできない場合があるため、静かだからと姿勢や呼吸の確認をやめないでください。 [Queensland Government / Office of Fair Trading]

バックル式を含め、どの抱っこ紐でも赤ちゃんをこまめに確認してください。どの製品でも顔を覆わず、空気の通り道を保つ必要があります。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

保護者の胸のそばにある赤ちゃんの横顔を示しています。
保護者の胸のそばにある赤ちゃんの横顔を示しています。

TICKSで姿勢を確認する

以下の英国の案内ではTICKSという覚え方を使っています。製品の評価ではなく、確認する項目を思い出すための言葉です。項目ごとに赤ちゃんと抱っこ紐を見てください。家族で練習するなら、一人が項目を読み、装着している人が見える状態を説明する方法もあります。点数を付けたり、写真の姿をそのまま再現したりするためではありません。

月齢が低い赤ちゃんや首の支えが十分でない赤ちゃんは、頭と背中を支えて対面で抱き、その抱っこ紐が適しているか担当の医療者に相談してください。 [Health Service Executive (HSE)]

脚をおなかに強く押し付けるようにまとめると呼吸を妨げるおそれがあるため、避けてください。 [Queensland Government / Office of Fair Trading]

製品を選び、その装着方法を覚える

製品名、抱く向き、実際の装着状態は別の情報です。メーカーに問い合わせるときは、まとめて伝えてください。新生児用という言葉だけより、製品名、対面抱きなどの向き、使っている設定を示すと状況が具体的になります。後半の記録には製品名と参照した説明書を書く欄を設けました。別の保護者が同じ資料を見つけるためにも使えます。

赤ちゃんの月齢、体格、発達に合う抱っこ紐を選び、メーカーの組み立て方と使用方法に従ってください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health]

使用できる体重の範囲を確認し、借りた製品や中古品でも読める説明書を用意してください。 [U.S. Consumer Product Safety Commission] [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health]

使い方の実演を頼み、初めて赤ちゃんを入れたり出したりするときは、別の人に手伝ってもらってください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health] [Queensland Government / Office of Fair Trading]

抱っこ紐は背中を支え、脚を出す開口部は赤ちゃんがすり抜けない大きさである必要があります。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

抱っこ紐を選ぶ際は、状態や説明書に加えてリコール対象になっていないかも確認してください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health]

保護者がテーブルの上で抱っこ紐とバックルを確認しています。
保護者がテーブルの上で抱っこ紐とバックルを確認しています。

抱く前から使用中までの流れ

製品の点検と赤ちゃんの確認は分けて進めてください。製品では布や留め具を、赤ちゃんでは姿勢や反応を見ます。バックルが閉じているという説明だけでは、あごや鼻の位置は分かりません。以下では両方を確認できるように分けています。

  1. 使う前に縫い目、ストラップ、留め具の傷みを見て、結び目やリングが説明書どおりに固定されているか確認してください。 [Queensland Government / Office of Fair Trading]
  2. 縫い目の破れ、ストラップのほつれ、留め具の緩みや欠損がある場合は、解決するまで再使用しないでください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health] [Health Service Executive (HSE)]
  3. 必要な固定ストラップをすべて使い、歩き始める前に赤ちゃんが固定されていることを確認してください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]
  4. 抱いたまま移動する前に、顔が見えること、鼻と口が覆われていないこと、あごの下の空間、背中の支えを確認してください。 [NHS] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]
  5. 最初の装着確認が終わっても、使用中は引き続き姿勢と呼吸を確かめてください。 [Queensland Government / Office of Fair Trading] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

抱っこ紐を使ったまま下に手を伸ばす必要があるときは、腰から折れ曲がらず膝を曲げてください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

赤ちゃんを抱いたまま走る、自転車に乗る、調理する、熱い食べ物や飲み物を扱うことは避けてください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health] [Queensland Government / Office of Fair Trading]

月齢や健康状態による違い

抱っこ紐を使う場面は家庭ごとに異なります。新生児とラップを初めて練習する人もいれば、成長した赤ちゃんに以前からの製品が合うか確認する人もいます。相談では、その赤ちゃんとその製品の状態から説明してください。以下の違いを踏まえると、同じ答えがすべての状況に当てはまるわけではないと分かります。

生後4か月未満、早産、低出生体重、呼吸の問題がある赤ちゃんでは、スリングの使用に特に注意し、小児科医に相談する必要があります。 [U.S. Consumer Product Safety Commission] [Queensland Government / Office of Fair Trading] [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health] [Health Service Executive (HSE)]

AAPは、姿勢によって呼吸が難しくなる可能性があるため、早産児や呼吸の問題がある乳児を背負い式キャリアなどの縦姿勢をとらせる器具に入れないよう案内しています。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

早産や健康上の心配がある赤ちゃんでは、使う前に、その製品と姿勢が適しているか医療チームへ確認してください。 [U.S. Consumer Product Safety Commission] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

フレーム付きの背負い式キャリアは生後4か月未満には勧められておらず、月齢にかかわらず使う前に医療専門職へ相談してください。この案内は、柔らかい抱っこ紐それぞれの説明書とは分けて考えてください。 [Australian Competition and Consumer Commission; official copy hosted by NSW Health]

赤ちゃんが活発になると抱っこ紐や保護者の体を押すことがあるため、固定具を使い続け、収まっている姿勢を確認してください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

頭を支える力の発達は、タミータイムと首の支えのガイドで別に説明しています。

鼻と口が覆われないよう、コートなどの衣服を赤ちゃんの顔から離してください。赤ちゃんが暑くなりすぎたら、衣服を調節してください。 [Health Service Executive (HSE)] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

授乳のときはいったん出す

座った保護者が授乳前に、抱っこ紐の外で赤ちゃんを抱いています。
座った保護者が授乳前に、抱っこ紐の外で赤ちゃんを抱いています。

NHSは、母乳でも哺乳瓶でも授乳時にはスリングから赤ちゃんを出すよう案内しています。移動やほかの作業をしながら、手を使わずに授乳するのは安全ではありません。 [NHS] [Norfolk and Waveney Children and Young People’s Health Services / NHS] [NHS Best Start in Life]

このガイドでは、授乳と抱っこ紐の使用を別の行動として扱います。例も、出して授乳し、その後どうするかを決める順序です。パートナーや預かる人にも、抱っこ紐の中で授乳する特別な方法を覚えてもらわずに共有できます。授乳そのものの支援は、普段の医療担当者と別に相談してください。

NHSとアイルランドのHSEは、授乳の際に赤ちゃんをスリングや抱っこ紐から出すよう案内しています。このガイドも、母乳と哺乳瓶のどちらでもこの案内に従います。 [NHS] [Health Service Executive (HSE)] [NHS Best Start in Life]

授乳後に再び使う場合は、体を縦に支え、顔、鼻、口が見え、あごが胸から離れた姿勢に戻してください。 [NHS] [Queensland Government / Office of Fair Trading]

眠ったら寝床へ移す

赤ちゃんがぴったり合うシーツを付けたベッドにあおむけで寝ています。
赤ちゃんがぴったり合うシーツを付けたベッドにあおむけで寝ています。

抱っこ紐やスリングは普段の寝床ではありません。そこで眠ったら、できるだけ早く硬く平らで傾斜のない寝床に移し、あおむけに寝かせてください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

現在の米国消費者製品安全委員会(CPSC)の安全基準を満たすベビーベッドやバシネットなどの乳児用睡眠製品を使ってください。ぴったり合うシーツを付け、枕、緩い毛布、ぬいぐるみは置かないでください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

赤ちゃんを寝かせる場所の準備は、安全な睡眠環境のガイドのチェックリストも参照してください。

移す準備の間も呼吸とあごの位置を確認してください。見守っていても、抱っこ紐が安全な寝床になるわけではありません。 [Health Service Executive (HSE)] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

逆流があるからといって、傾けた寝姿勢が安全な基本の選択になるわけではありません。AAPは胃食道逆流症の赤ちゃんも、平らな場所であおむけに寝かせるよう勧めています。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

赤ちゃんを抱いたままソファや肘掛け椅子で眠らないでください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

次に誰が世話を引き継ぐかを考えるなら、保護者の回復と赤ちゃんの安全のガイドも話し合いの参考になります。

使う寝床、その場所、次に担当する大人を、普段の言葉で書いておく方法もあります。新しい医学的な規則ではなく、家庭の段取りです。複数の人で世話をするなら、引き継ぎメモに含めてもよいでしょう。疲れてから相談する前に、次の行動をはっきりさせておくためです。

医療の助けが必要なとき

空の抱っこ紐をそばに置き、保護者が医療者と話しています。
空の抱っこ紐をそばに置き、保護者が医療者と話しています。

息苦しそう、非常に速く呼吸する、唇や皮膚が青色や灰色になる、起こしにくい、起こしても反応しない場合は、救急の助けを求めてください。 [NHS]

うなる呼吸音、息を吸うたびに胸やおなかがへこむ、鼻の穴が広がる様子は、呼吸に力が必要なサインですので、救急の助けを求めてください。 [NHS]

すべての警告サインがそろうまで待たないでください。重大な異常があると思ったら、すぐに医療の助けを求めてください。 [NHS]

赤ちゃんに反応がなく正常に呼吸していない場合は、地域の救急番号に電話し、すぐに乳児の心肺蘇生を始め、指令員の指示に従ってください。 [NHS]

直ちに救急を呼ぶサインがなくても、症状が心配なときや対応に迷うときは、緊急医療相談窓口や担当の医療者へ連絡してください。 [NHS]

見た状態をどう伝えるかは、赤ちゃんの呼吸観察ガイドを参照してください。緊急受診については上記の案内に従ってください。

装着の質問なら、このストラップの調節方法が分からない、と書けます。医療相談では、呼吸の様子が違った、普段より起こしにくかった、というように赤ちゃんの状態を説明してください。電話でも二つを分けて伝えます。この記事は症状の原因を診断するものではなく、後から抱っこ紐を調節しても、先ほどの症状の原因は確定できません。

装着の相談で確かめたいこと

装着を相談するときは実際の説明書も一緒に見てください。一般的な記事だけでは、特定の製品で座面を調節する部分、設定に応じたパネルの位置、留め具の外し方までは答えられません。説明書に部品名があれば、その名前で質問を書いておきましょう。腰のストラップと肩のストラップの話を取り違えないためです。

引き継ぎでは、この製品の使い方を誰が知っているか、説明書がどこにあるか、まだ分からない部分は何かも書いてみてください。別の抱っこ紐を使った人は違う手順を思い浮かべるかもしれないので、実物を前に話しましょう。付属の説明を共有する方法であり、説明書にない留め方、結び方、支えを新しく作るという意味ではありません。

器具よりも赤ちゃんの状態を相談する場合は、観察したことを先に書いてください。歩くとあごが下がった、口が見えなかった、では心配している点が違います。自分で病名を付けず、出す前後に見た状態も加えましょう。以下の欄は、製品の説明に相談の理由が埋もれないよう、観察を別に記す形にしています。

保護者や受診時に使う短い記録

以下は必要に応じて使うメモで、診断用のチェックリストではありません。観察と質問を分けて書くためのものです。目標時間や合否の点数はありません。家庭に必要な欄だけを使い、不明なことは推測せず空欄にしてください。

日付、保護者、使用した場所
____________________
月齢と医療者へ伝えている病歴
____________________
ブランド、製品名、説明書またはラベル
____________________
抱く向きと使用した設定
____________________
顔、鼻、口、あご、背中の観察
____________________
呼吸、皮膚の色、反応の変化
____________________
出す前後に起きたこと
____________________
授乳のための中断、寝床への移動
____________________
求めた助言と残っている質問
____________________

記入例は、対面抱き、ラベルと説明書あり、肩ストラップの調節を手伝ってもらった、抱っこ紐から出して授乳した、次回受診時に質問あり、という形です。実際の赤ちゃんの記録でも、その装着状態が安全だという証明でもありません。起きたこと、行ったこと、残った質問を分ける書き方の例です。

記録を埋めたり写真を撮ったりするために、緊急の受診を遅らせないでください。 [NHS]

よくある質問

鼻が見えれば安全な姿勢ですか?

鼻が見えるだけでは十分ではありません。口も覆われていない必要があり、顔が出ていても、あごが胸に付くように丸まると呼吸が妨げられるおそれがあります。 [U.S. Consumer Product Safety Commission] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

授乳中もスリングに入れてよいですか?

NHSの案内に従い、授乳の際は赤ちゃんを出してください。母乳でも哺乳瓶でも同じです。 [NHS] [NHS Best Start in Life]

見守ればベッドの代わりにできますか?

できません。抱っこ紐やスリングで眠ったら、できるだけ早く硬く傾斜のない寝床へ移してください。 [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

早産でも体重表示に合えば使えますか?

体重表示だけでは医学的に適しているかは決まりません。使う前に、その製品と姿勢について赤ちゃんの医療チームと相談してください。 [U.S. Consumer Product Safety Commission] [American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org]

出典

この教育用ガイドは、赤ちゃんの医療チームや抱っこ紐メーカーと相談するための参考資料です。個別の診察、救急対応、製品の説明書に代わるものではありません。画像は内容の説明用で、特定の製品や装着状態の安全性を認定するものではありません。